キミの心に届くまで


「……っ」



あまりの力の強さに思いっきり顔をしかめる。


掴まれたところが、めちゃくちゃ痛くてヒリヒリする。



「今さら怖くなったとか言うなよ?誘いに乗ったのはお前なんだからな」



「……わかってるよ」



言うわけないじゃん。


バカにしないでよ。


あんたなんて、ちっとも怖くないんだから。


そう、今のあたしにはもう怖いものなんて何もないんだ。



強気で睨み返すと「気の強え女だな」とさらに睨み返された。



「お前……今から何するつもりだよ?」



低く冷たい片桐の声は、明らかにあたしを軽蔑していて。


なぜか、胸の奥が締め付けられて苦しくなる。



「片桐には……関係ない」



「…………」



いつもみたいに『あっそ』って興味なさそうに言って、あたしの前から消えてよ。


< 117 / 374 >

この作品をシェア

pagetop