キミの心に届くまで
「……っ」
あまりの力の強さに思いっきり顔をしかめる。
掴まれたところが、めちゃくちゃ痛くてヒリヒリする。
「今さら怖くなったとか言うなよ?誘いに乗ったのはお前なんだからな」
「……わかってるよ」
言うわけないじゃん。
バカにしないでよ。
あんたなんて、ちっとも怖くないんだから。
そう、今のあたしにはもう怖いものなんて何もないんだ。
強気で睨み返すと「気の強え女だな」とさらに睨み返された。
「お前……今から何するつもりだよ?」
低く冷たい片桐の声は、明らかにあたしを軽蔑していて。
なぜか、胸の奥が締め付けられて苦しくなる。
「片桐には……関係ない」
「…………」
いつもみたいに『あっそ』って興味なさそうに言って、あたしの前から消えてよ。