キミの心に届くまで


「あたしが……悪かったから。本当にごめんね」



いつも無表情で何事にも興味がなさそうな片桐が、知らない人みたいに見えて怖かった。



男だと改めて認識させられて、初めて見るその顔がすごく怖かった。



でも、相手があの金髪野郎じゃなくて、片桐で良かったって心底ホッとしたのも事実。



あの時片桐があたしをムシしていたらと考えると、とてつもなく怖くて体が震えた。



「投げやりになってたからって、していいことと悪いことがあるよね……」



今になって初めて気付いたよ。


これ以上ズタズタになっていたら、きっとあたしは立ち上がることすら出来なくなっていたと思う。


逃げていたって何も変わらない。


弱さに負けちゃダメなんだ。


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