キミの心に届くまで


「冗談だろ、怒るなよ」



ククッと笑った片桐は、全然反省なんてしていないかのよう。


だけど。



わ、笑った……!


あの片桐が……!


今まで無表情で無愛想だった片桐が、初めてあたしに向かって笑った。



イタズラッ子のように歯を見せて、鋭くて大きかった目は細まっている。



ーードキン



なぜか片桐の笑顔に胸が高鳴って、とっさに目をそらす。



な、なんでこんなことでドキドキしちゃってんの!?


バカにされて笑われてるんだよ?


それなのに……こんなのっておかしいよ。


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