キミの心に届くまで
片桐……郁都にもらったスペアキーを使って鍵をかけると、気が重くなるのを感じながら教室に戻った。
相変わらずあたしの席の真横で、派手な女子達とすずが机をくっ付けてお喋りしている。
「すずは柏木君とうまくいってる?」
席に着くとそんな会話が聞こえて来た。
声が大きいから、近くにいなくても辺りに響いている。
「あ、えーっと。うん……まぁ普通、かな」
「キャー、もう家に行ったりしたの?柏木君って紳士っぽく見えるけど、手は早かったりする?」
「え?いや……あの」
楽しそうにはしゃぐ3人と、明らかに困っているすずの声。