キミの心に届くまで
「本当に何も知らないの?」
HRが終わって授業が始まるまでの短い時間に、どうしても気になって隣の女子にそう聞いた。
一瞬だけビックリしたような顔をされたけど、あたしのことを良く思っていないからかすぐに鋭い目付きで睨まれる。
「はぁ?知るわけないでしょ。ってか、興味もないし。柏木君とイチャイチャしてんじゃないの?」
今まで散々仲良くしといて、そんな言い方はあんまりじゃない?
「あ、でも、それはないか。さっき柏木君見たし。別の男とイチャイチャしてんじゃない?尻軽女だしさ」
まるで汚いものを見るように、その女子はすずを嘲笑った。
なん、で……?
仲良くしてたくせに。
先週まで、仲良かったじゃん。
それなのに、そんなにすぐ嫌いになれるものなの?
「大橋さんも本当は嫌いだったんでしょ?ならあたしらと同じじゃん。一緒にいるようになって、ウザいったらなかったよ。まぁ、その前からウザかったけど〜」