キミの心に届くまで


それはあたしと同じ、すずを妬むような視線。



「あの甘ったるい声も、ヘラヘラ笑う顔も純情ぶってるところも全部にイライラしてた。近付いたのは、少しでも柏木君に近付けると思ったからだし。じゃなきゃ、あんな女と仲良くしようなんて普通は思わないでしょ。ブリっ子だし」



自分のことを言われたわけじゃないのに、なぜか胸が痛くて苦しくて。



なに食わぬ顔で、授業の準備をし始めた女子の横顔を信じられない思いで見つめていた。



確かにあたしも同じような感情を抱いていて、大嫌いだって思っていたけど。


嫌いなはずだったのに、怒りでありえないくらい拳がプルプル震えた。



あたしは今までずっと、こんな目ですずを見ていたの……?


ううん、あたしはこの人達とは違うってそう思いたい。


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