キミの心に届くまで


「いつか……すずがあたしから離れて行っちゃいそうで……っ」



怖かった。


ただ、それだけだった。


いつか離れて行くくらいなら、あたしから離れようって。


傷付けられるくらいなら、こっちから傷付けてやろうって。


そんな卑怯な思いから、あたしは一方的にすずを傷付けた。


最低な自分がいたことから逃げ続けて、目を背けて来たけどそれじゃダメだって気付いたから。



「本当は嫌いなんかじゃないよ……!本当は……っ、大好きだから」



だからこそ、ひどいことを言ってしまった。


すずに『いらない』って言われるのが、どうしようもなく怖かった。


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