キミの心に届くまで


すずは必死に自分の気持ちを打ち明けてくれた。


いつも迷惑ばかりかけて、申し訳なく思っていたこと。


頼りになるから、つい甘えて言いたいことを言ってしまっていたこと。


あたしに言われて自分の行動を振り返り、嫌われても仕方ないことをして来たと感じたらしい。



「知ってたよ……誰にでもいい顔してるあたしを……っ陽良が、良く思ってなかったこと……っ。ダメだって……っわかってるんだけど。バカみたいに、ヘラヘラ笑ってなきゃ……ひとりぼっちになりそうで……」



『だから、傷付いてもいつも笑ってた。陽良に嫌われるのが怖かったから、笑って誤魔化してたんだ』とすずは言った。



空気が読めない子だと思ってイライラしてたけど、本当は違った。



すずは人一倍敏感で、傷付きやすい心の持ち主だった。


天真爛漫で無邪気で明るくて……。


いつでも笑いを絶やさなかったすずの心の裏側には、たくさんの涙や想いが隠されていた。


< 168 / 374 >

この作品をシェア

pagetop