キミの心に届くまで


話してみないと知ることのなかったすずの本音。


結局、あたしが見て来たのはすずの上辺だけだった。


ううん、見ようとしていなかった。


自分のことを深く詮索されるのが嫌で、自然と予防線を張ってしまっていたのかもしれない。



「あたしは……すずが羨ましかった。みんなから好かれて、友達も多くて。色んな人から助けてもらえて、人気者で」



妬ましくて嫉妬してた。


いろんなところに居場所があるすずが、たまらなく羨ましかった。


でも違った。


悩みごとなんてなさそうにのほほんとしていたすずも、色んなことを考えて悩んでいた。


あたしの知らない本音がたくさん隠れてた。



言わなきゃわかってもらえない。

言わなきゃ何も伝わらない。

言わなきゃ相手のことを知ることさえ出来ない。


心を開かなきゃ何も見えなかったんだ。


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