キミの心に届くまで


本音を……弱音をさらけ出すのは簡単なことじゃない。


心の弱い部分を他人に見せるのは、とてつもなく不安で勇気がいること。


だけど今日、あたしは勇気を出して良かったと思った。



すずの本音を知れて良かった。


すずと話せて良かったって。



あたし達はずっと、今まで上辺だけでしか付き合って来なかった。


お互いの弱さや本音をさらけ出したことで、これからはもう少し仲良くなれるよね……?


なれると、いいな。



「すず……これからも、あたしと友達で居てくれる?」



落ち着いたのか、すずの目からもう涙は出ていない。


並んでベンチに座っていると、あたし達の間をヒューッと風が通り抜けた。



「やだよ」



「えっ……?」



涙交じりのすずの声が風と共に聞こえて。


思ってもみない返答に思わず訊き返してしまった。


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