キミの心に届くまで


やばい、嬉しい。


すずが……まだあたしと一緒に居たいと思ってくれてたなんて。


ましてや、これから親友だと思ってくれるなんて。


嫌いだって思ってたのに、今となってはそれは一瞬の感情にすぎなかった。


やっぱりあたしは、すずが大好きでこれからもずっと一緒に居たい。


今はそうやって胸を張って言えるから、これまですずに対して抱いた感情はムダなんかじゃない。


弱いあたしに、乗り越えるチャンスをくれたんだって思うことにするよ。



「すず……ありがとう」



「なに言ってんのー!陽良が話しかけて来てくれて良かった……本当にありがとう」



「ううん!あたしが」



『悪いから』と言おうとしたところで、すずに制された。



「もう謝るの禁止!これからは、前だけ向いて行こう!」



すずの言葉にゆっくり頷く。


そして、顔を見合わせて笑い合った。


こんなに笑ったのは、すごく久しぶりかもしれない。



これからは思ったことを口にして行こう。


弱さや本音を言い合える仲になりたい。


すずのことをもっとちゃんと知りたい。


そう思った。


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