キミの心に届くまで


「腹減ったー。今日のおかずは?」



郁都の目当てはお弁当で、あたしを待っていたんじゃないってことはわかってるんだけど。


少し寂しさを感じる。



「今日はエビフライとハンバーグだよ」



お弁当袋を渡しながら、今日の中身を伝えた。



「マジ?」



子どものお子様ランチにありそうなメニューにしたのは、郁都の好物だってことを知ったから。


途端に目を輝かせ始めた郁都を見て、胸がドキンと高鳴った。



一瞬にして頬が熱くなったのを感じて、顔を背けながら郁都の横に腰を下ろす。



「なんでこっち見ねーんだよ?」



「えっ!?べべ、別に……!何でもないよ」



うわー。


こんなに動揺してたんじゃ、何かあるってバレバレじゃん。


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