キミの心に届くまで

ーードキンッ



てっきりイタズラッ子のような笑みを浮かべていると思った郁都だったけど、とても真剣な顔をしていて。



すべてを見透かしそうなほど力強い意志を持ったその瞳から目が離せない。


だけどやっぱり、その中に見える寂しさは前と変わらなくて。


胸の奥がキューッと締め付けられる。



「はは。顔、真っ赤だな」



唇の端を持ち上げてフッと笑った郁都の顔は、いつも以上にすごく寂しそうだった。



そして掴んでいたあたしの腕を離すと、今度は恐る恐るその手をあたしの頬まで持って来た。


壊れ物でも扱うかのように、そっとあたしの頬に触れる郁都の大きくてゴツゴツした手。



初めての行動に戸惑いながら、どうすることも出来ずに固まるあたし。