キミの心に届くまで
触れている部分から、緊張とドキドキが全部伝わっちゃいそうで。
だけど、寂しそうに笑う郁都を見ていると胸が痛くて複雑な気分。
「あ、あの……」
この空気に耐えられなくなったあたしは、か細い蚊の鳴くような声で囁いた。
「え、あ。わりぃ……」
あたしの声にハッとした郁都は、自分の行動に目を見開いてビックリしているようだった。
そしてパッと手を離すと、今度は郁都があたしからそっぽを向いてしまう。
「わり。お前、似てるから……つい」
申し訳なさそうに静かにつぶやく郁都。