キミの心に届くまで


「今でも……好きなの?」



傷付くのを覚悟で恐る恐る聞いてみた。


ギュッと唇を噛みしめる郁都の横顔は、何かを悔やんでいるような。


後悔しているような、そんな顔だった。



ドクンドクンと胸が高鳴ってズキズキ痛む。



お願いだから、早く何か言って。


じゃなきゃ、この空気に耐えられないよ。


息が……胸が苦しい。



「さぁな」



「…………」



『んなわけねーだろ』って怒ったように言ってくれるのを期待していたあたしの心は、郁都の言葉にかなりの衝撃を受けた。



『さぁな』



寂しさ交じりの切なげな声が、悔しそうにうつむくその横顔が……。


彼女を手放したことをすごく後悔しているように見えて、切なさで胸がいっぱいになる。


< 181 / 374 >

この作品をシェア

pagetop