キミの心に届くまで
あたしとその人をくっ付けようと必死になっているのが、見ていてすごくわかりやすい。
「いいじゃーん!陽良とザッキーが付き合ってくれたら、ダブルデートも出来るしさ〜!この際、手作りで渡すってのはどう?」
階段に差し掛かったところで、すずはさらに興奮気味にあたしに言う。
肩をバンバン叩かれて、あまりの激しさに思わず身を引く。
「ちょ、すず」
そんなに叩かれたら、教科書が落ちちゃうって。
「お前ら、邪魔」
そんなやり取りをしている中、背後から聞こえたぶっきらぼうで冷たい声。
その声に鼓動がひとつ、トクンと跳ねた。