キミの心に届くまで
振り返らなくても誰だかわかってしまうのは、いつもいつもこの人があたしの胸の中を占領しているから。
それと同時に、冷たく響いたその声にキリキリと胸が痛み出す。
やっぱり、校内ではあたし達は他人なんだ。
ううん。
友達とすら呼べる関係ではないんだから、もともと他人も同然。
郁都の中ではあたしなんて、ただ、一緒に昼休みを過ごす人っていうくらいの認識なのかも。
「さっきからギャーギャーうるせーし、ちょっとは黙って歩けないのかよ」
固まるすずとあたしの横を通り過ぎ、郁都は階段を下りて行った。