キミの心に届くまで
口では反省の言葉を言っていても、すずはこれっぽっちもそんなことを思っていないだろう。
昨日突然押しかけて来たすずは、半ば強引にあたしを連れ出すと近所のスーパーで板チョコやデコレーションの材料を買った。
しかもその量は、あたしとすずの2人分。
そして強引に一緒にチョコを作らされ、『ザッキーに渡すんだよ!』と念押しされて……。
今に至る。
まぁ、作るのは楽しかったからいいんだけど。
「ザッキーにあげるチョコ、ちゃんと持って来た?」
「持って来るわけないじゃん。昨日食べちゃったよ」
「えー!なんで?」
なんでって言われても、あたしはザッキーって人とどうにかなるつもりなんてないんだから。
顔だって知らないし、どんな人かもわからないのにあげられるわけないじゃん。
「ザッキーには悪いけど、あげるつもりなんてないんだからね」
「えー!陽良のバカ〜!」