キミの心に届くまで


あげるなんて一言も言ってないんだし、あたしが悪いわけではないはず。


だけど、すずは不満そうに頬を膨らませてすねてしまった。


よくよく考えたら、義理チョコなんて軽い気持ちで渡せばいいのかもしれないんだけど。


頭にちらつく郁都の存在が気になって仕方なくて、どうしてもそんな気になれなかった。



本当は好きな人がいるんだって、すずに言った方がいいよね。


じゃなきゃ、どんどんヒートアップしていきそうな気がする。


言わなきゃわからないもんね。



うーん。


だけど、どう言えばいいのかな。


すごく迷う。


それにまだ、誰かに話せる気がしない。


もう少し……もう少しだけ、自分の中で整理がついたら話そう。


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