キミの心に届くまで
振られるってわかってるんだから、余計に。
郁都は無表情にあたしを見ると、スーッと視線をそらして興味がなさそうな態度を見せた。
いつもなら『おー』とか言ってくれるのに、なんだか今日は不機嫌な様子。
目付きだって鋭いし、雰囲気もなんとなくダークだし。
いったい、どうしたっていうんだろう。
「はい、これ」
疑問に思いながらも、お弁当袋をそっと差し出す。
すると、より一層鋭さを増した瞳がそれを捉えた。
無言でそれを手にした郁都が、ゆっくりと袋を開ける。
ドキドキしながらチョコに対する反応を待った。
「なんだよ、コレ」
低い低い声が辺りに響いて、思わず方がビクッと揺れる。
その声は明らかに怒っていて、今までにないくらい冷たい。