キミの心に届くまで


「チョ、チョコだよ……!ほら、今日はバレンタインだし……」



そんな郁都の態度に内心ビクビクしてしまい、笑顔が引きつる。


やっぱり……迷惑だったかな?



郁都は可愛くラッピングされたチョコの袋を掴むと、あたしに向かってぶっきらぼうに突き返して来た。



「いらねー」



あからさまに迷惑そうな顔をする郁都を見て、膨らんだ気持ちがプシューと音を立てて沈んで行く。


そりゃそうだよね。


やっぱり、渡すべきじゃなかったかな。


どうでもいい相手からもらったって、迷惑なだけだもんね。



冷たく言われてしまい、義理チョコだからって軽いノリでなんて言い返せなくなってしまった。



重い空気がそこに流れて、無言でそれを受け取る。


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