キミの心に届くまで
なんだか、虚しい。
悲しくて、ツラくて。
喉の奥が焼けるように熱くなって、たちまち涙が滲んで来た。
こんなことで泣くなんて、どこまで打たれ弱くなっちゃったんだろう。
「バカじゃねーの、お前。本命がいるのに、義理チョコなんか渡して来るんじゃねーよ」
えっ……?
怒り交じりの声のあとに聞こえたため息。
ゆっくり顔を上げると、郁都はこれまでにないほど冷たい瞳であたしを見ていた。
本命がいる……?
いったい、なんのことを言ってるの?
何か、勘違いしてるんじゃ……。
「ザッキー……だっけ?そいつに手作りして、義理チョコまで手作りって。バカなんじゃねーの、マジで」
「え……?」
ザッキー……?