キミの心に届くまで


「好き……だから」



郁都のことが。


自分でも不思議だけど、もうどうしようもないくらい好きなんだ。


止められないんだよ。



「マジ……かよ」



郁都は目を見開いたまま、わしゃわしゃと自分の髪を掻き回し始めた。



その表情は困っているようにも見えて、なんだか傷付く。



「わかってるよ……迷惑、だったよね」



自分で言って、胸が激しく締め付けられた。


ダメだ、なんか泣きそう。


やっぱり、言うんじゃなかったな。


もう普通にしていられない。


恥ずかしくて情けなくて、今すぐにでも逃げ出したい気分。


そんな後ろ向きな気持ちが勝って、なんとなく顔を伏せた。



「迷惑だなんて言ってねーだろうが」



え……。


< 203 / 374 >

この作品をシェア

pagetop