キミの心に届くまで


あたしの気持ちには応えられないって、はっきりそう言ってくれれば良かったのに。


中途半端な優しさはツラいだけだよ。



「なにボーッとしてんだよ?」



「へっ?」



あ、ヤバ。


最近、郁都といても胸が苦しくて。


会う度に好きっていう気持ちが膨れ上がって行く。



至近距離で顔を覗き込まれて、整った顔と鋭い目付きに大きく鼓動が飛び跳ねた。



「べ、別にっ!」



「ふーん。変な奴」



恥ずかしさから慌ててそっぽを向き、郁都から視線をそらす。



ねぇ。


あたしのこと……どう思ってるの?



聞きたいけど聞けない。


何度飲み込んだかわからないその言葉。


その度に胸が苦しくて、どうしようもない寂しさに襲われる。


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