キミの心に届くまで


ズルイよ、そんなの。


今まで肝心なことは何も言ってくれなかったくせに、こういうことだけちゃっかり覚えてるなんて。


こんなことされたら、余計に期待しちゃう。


なんとも思ってないのなら、お返しなんて欲しくなかった。


そしたら、期待なんてしないのに。


そう思っちゃうあたしは、最低かな?



「いらねーの?俺の気持ち、詰まってんだけど」



「え……」



はにかむ郁都の顔は、心なしか少しだけピンク色に染まっているようにも見えて。



郁都の……気持ち?



「それって……どういうこと?」



ねぇ、わからないよ。


そんな期待させるようなこと言って、あたしをどうしたいの?


期待しちゃダメだと思いながらも、奥の方からジワジワ込み上げる嬉しい気持ち。


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