キミの心に届くまで
「あー、その。いつも弁当ありがたいなって、そういう気持ち。あと、俺に心配ばっかかけんなよって」
「なっ、なにそれ」
なんだ。
そういうことか。
それなら納得。
……そうだよね。
郁都の気持ちはあたしにはないんだもんね。
期待してたあたしがバカみたい。
涙が溢れそうになってキツく唇を噛み締める。
「あたし……先生に呼ばれてて!悪いけど、もう行くね」
「えっ、おい……」
郁都が呼び止めるのをムシして、お弁当袋を掴んで立ち上がった。
そしてそのまま勢い良く階段を下りる。
とてもじゃないけど、これ以上普通に話していられなかった。