キミの心に届くまで


「あー、その。いつも弁当ありがたいなって、そういう気持ち。あと、俺に心配ばっかかけんなよって」



「なっ、なにそれ」



なんだ。


そういうことか。


それなら納得。


……そうだよね。



郁都の気持ちはあたしにはないんだもんね。


期待してたあたしがバカみたい。



涙が溢れそうになってキツく唇を噛み締める。



「あたし……先生に呼ばれてて!悪いけど、もう行くね」



「えっ、おい……」



郁都が呼び止めるのをムシして、お弁当袋を掴んで立ち上がった。


そしてそのまま勢い良く階段を下りる。



とてもじゃないけど、これ以上普通に話していられなかった。


< 209 / 374 >

この作品をシェア

pagetop