キミの心に届くまで
その夜。
ひとりの食卓とは違って、今日はひときわ賑やかだった。
野菜中心のお母さんの料理がたくさん並んでいる。
「お父さんは?」
「ドイツに出張よ。昨日から行ってて、3週間は帰って来ないわ」
「そうなんだ」
「さぁ、翼。いっぱい食べてね」
「うん!いただきまーす」
お母さんはあたしの隣に座る翼に向かって、にっこり微笑んだ。
あたしには……言ってくれないんだ?
あたしもいるのにな。
お母さんのご飯、すごく久しぶりなのに。