キミの心に届くまで


でもまぁ、仕方ないよね。


久しぶりに翼と帰って来られて、嬉しいんだよね。


翼だって、病院より家の方がいいに決まってる。



「おねーちゃん、早く食べよう」



「……うん。いただきます」



久しぶりに食べたお母さんの手料理は、涙が溢れそうになるほど美味しかった。



そして翼とお母さんの笑い声が響いて、久しぶりに楽しい食卓となった。



だけど、それは春休み中だけの出来事で。


新学期が始まる頃に、翼はまた体調を崩して入院することになった。



生まれた時から心臓が弱くて、何度危機を乗り越えて来たかわからない。



学校に通うことを楽しみにしてたのに、神様ってことごとくイジワルだ。


< 216 / 374 >

この作品をシェア

pagetop