キミの心に届くまで
新しいクラスは想像していた通り騒がしくて、先生が話しているにも関わらずひそひそ声が聞こえたり、机に突っ伏して寝ている人の姿が圧倒的に多かった。
進学校だけど校則は緩いから、髪を染めたりしてても特に注意されることはない。
自由をモットーにしてる高校も珍しいけど、派手すぎると注意されることもあるみたい。
休み時間はアリスさんにわざと大声で陰口を言われたり、通りすがりに睨まれるなんて毎度のこと。
まだ始まって間もないのに、この先やっていけるかという不安は大きくなっていくばかりだった。
「じゃあ……あとは日直が司会をして、委員会のメンバーを決めてくれ。決まったら紙にまとめて提出よろしくな」
HRの時やる気のない担任の先生は、面倒な委員会決めを日直にすべて託して教室を出て行った。
今日の日直は、あたしとクラスでも地味で大人しめのイワイ君。
先生が出て行った途端、騒がしくなり始めた教室内をぐるりと見回してため息を吐いた。
こんなの、あたし達なんかにまとめられるわけがない。