キミの心に届くまで
「大人しそうな顔して実はエロいとか、すっげーソソる」
男子達のからかう声が胸に深く突き刺さる。
教室内の空気が明らかに、アリスさんのせいで変わってしまった。
ーーバンッ
「テメーら、うっせーんだよ」
ざわつく中、大きな声を張り上げたのは郁都だった。
さっきまで我関せずで机に突っ伏して寝ていたから、周りの人は驚きの表情を浮かべている。
鋭く吊り上がった目が、彼をまとうダークなオーラが不機嫌だということを語っていて。
空気の流れがピリピリしたものに変わる。
アリスさん達も、郁都を見て頬を引きつらせていた。
なんで……そんなに不機嫌なの?
寝てるのを邪魔されたから?
それとも……助けてくれた?
いやいや、ありえないよね。