キミの心に届くまで
「何やってんだよ?」
えっ……?
放課後、屋上でぼんやりしていると後ろから不意にぶっきらぼうな声が聞こえて来た。
「い、郁都……」
穏やかな春の陽射しが降り注ぐ中、目を細めてまっすぐにあたしを射抜くその鋭い瞳。
春風に吹かれて、明るい茶髪がそよそよ気持ち良さそうに揺れている。
フェンス前に立って景色を見下ろしていたあたしの隣に来ると、郁都は同じようにそこを見下ろした。
「家に居ても誰も帰って来ないし、寂しいから時間潰してただけ」
あたしもまた、同じように見下ろしてボソッとつぶやく。