キミの心に届くまで
話すのは久しぶりのはずでドキドキするのに、一緒にいる空間がすごく心地良くて落ち着く。
それと同時に膨らんでいく『好き』っていう感情。
離れてみて一段と大きくなっていることに気付いた。
「寂しいって、なんでだよ?」
前までは深く突っ込んで聞いて来たりしなかったのに。
ちらっと目だけであたしを見る郁都の横顔は、やっぱりどこか切なげで。
胸の奥がキューッと締め付けられる。
「弟が病気でね。生まれてからずっと入院してるようなもんだから……お父さんもお母さんも、弟のことしか頭にないみたいなんだよね」
フッと自嘲気味な笑いが漏れた。
こんなことを郁都に言ったって、どうにもならないのに。