キミの心に届くまで
「病院に泊まり込んでるからあんまり帰って来ないし、あたしがどこで何をしてようと興味ないみたいで」
「ふーん」
聞いて来たくせに、やっぱり最後は突き離すんだね。
こうもあっさり話を切られると、ちょっと寂しさを感じてしまう。
別に何か言ってくれることを期待していたわけじゃないんだけど。
届きそうで届かないこの距離が、あまりにももどかしくて胸が痛い。
ーーガシャン
「え……?」
顔を伏せようとしたその時、突然顔の横に腕が伸びて来た。
その手がフェンスを掴んだ瞬間、すぐ後ろに聞こえた息遣い。
ーードキッ
あたしの後ろから、郁都が覆い被さるように立っている。