キミの心に届くまで
今まで散々支えてもらっておいて、冷たいかもしれないけど。
このままだと胸が苦しくてどうにかなっちゃいそうだから。
「っんな寂しいこと言うなよ……っ。好きなんだって、マジで」
「……っ」
フェンスから離れた郁都の腕が、あたしの全身に回されキツく抱き締められる。
今にも泣き出しそうなほど悲しげなその声に、喉の奥がカッと熱くなって涙が込み上げた。
わかってる。
期待しちゃダメ。
これはあたしに言ってるわけじゃないんだ。
期待すると、その分だけまた傷付けられる。
わかっているのに、あまりにもキツく抱き締めて来るもんだから……。
その大きな胸に、温かい腕に気持ちがほだされる。
「あた……っ、あたしも……好きっ」