キミの心に届くまで
こんな状況の中で、自分の気持ちにウソなんてつけなかった。
心が……全身が、郁都への想いで溢れている。
「ずっと……っ、ずっと、好きだった……っ」
もう、郁都の中に誰がいたっていい。
あたしを放っておけないって言うんなら、誰かの代わりでもいいから。
あたしを見てくれなくてもいいから。
そばにいさせて欲しいよ。
「陽良」
ーードキッ
初めて呼ばれた名前に緊張して全身が火照る。
「な、なに……?」
「こっち向けよ」
「ム、ムリだしっ」
耳元で囁かれる優しい声に背筋がゾクゾクした。