キミの心に届くまで


こんな状況の中で、自分の気持ちにウソなんてつけなかった。


心が……全身が、郁都への想いで溢れている。



「ずっと……っ、ずっと、好きだった……っ」



もう、郁都の中に誰がいたっていい。


あたしを放っておけないって言うんなら、誰かの代わりでもいいから。


あたしを見てくれなくてもいいから。


そばにいさせて欲しいよ。



「陽良」



ーードキッ



初めて呼ばれた名前に緊張して全身が火照る。



「な、なに……?」



「こっち向けよ」



「ム、ムリだしっ」



耳元で囁かれる優しい声に背筋がゾクゾクした。


< 255 / 374 >

この作品をシェア

pagetop