キミの心に届くまで


「はぁ?なんでだよ?」



さっきまでの切なげな声がウソみたいに、今度は俺様ぶりを発揮する郁都。


コロコロ変わる態度に、いつもいつも翻弄されっぱなしなのを、きっと郁都は知らないだろう。



他の誰かじゃ埋まらない心の穴。


あたしが心から欲しかった人は……郁都だった。



「く、苦しいよ……っ」



「こっち向くまで緩めてやんねー」



そ、そんなっ。


卑怯だよ。



郁都は慣れてるから平気なんだろうけど、初めてのあたしにはハードルが高すぎて落ち着かない。


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