キミの心に届くまで
「頼むから……こっち、向けよ」
ズルいよ……そんな切なげな声で。
胸の奥が締め付けられて、従わずにはいられなくなる。
抱き締めていた腕が緩められると、肩を掴まれて振り返らされた。
ーードキン
大きくて鋭い瞳に見つめられると、まるで魔法にでもかかったかのように吸い寄せられて目が離せなくなる。
一瞬で心も奪われて、他のことが何も考えられない。
ただ『好き』っていう気持ちが溢れて止まらなくなった。
ーーフッ
「顔、真っ赤だな」
「……っ」
満足そうにフッと笑った郁都は、ゆっくりと顔を近付けて来た。