キミの心に届くまで
「んっ」
ゆっくり重ねられた唇に思わず目を見開く。
頭の中では何が起こったのか正常に処理しきれないのに、どんどん熱を帯びていく頬。
熱くなっていく体に心臓は破裂寸前だった。
唇に触れる確かな温もりに、胸が激しく締め付けられる。
郁都は目を閉じているけど、あたしにはそんな余裕なんてなかった。
目を閉じて、あたしとキスして……。
今、誰のことを考えてるの……?
そんなことを思うと、幸せなはずなのに涙が浮かんで溢れ落ちそうになる。