キミの心に届くまで


「まぁまぁ落ち着いて。まとめるにしても、まだ話し合いの段階だしすぐにはムリだろ。資料も足りないし、もうちょっと深く話し合ってからだな。発表もまだ先だし、黒田が嫌なら俺がするから」



ザッキーは爽やかに笑いながら、みんなの意見をやんわりとまとめた。



「そうだな。さすがザッキー!頼りにしてるぜ、委員長〜!」



調子のいい清水がザッキーを持ち上げる。



「大橋さん、今日の放課後空いてる?」



「え?」



放課後……?


突然ザッキーに聞かれてキョトンとする。



「資料探しに図書館に行かないかなって」



「え、あ、うん」



それは別に構わないんだけど。


あたしだけ?



「黒田は塾だよな?」



「あ……う、うん」



黒田さんがビクビクしながら小さく頷く。



まぁ確かに、この中でマジメに取り組みそうなのはあたし達3人くらいしかいないけどさ。



「ふーん、そういうことね。前から思ってたけど、ザッキーってすっげー大胆だな」



「そう?」



そんな清水とザッキーの会話を聞きながら、あたしはこの時間が早く過ぎ去ってくれることを祈った。


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