キミの心に届くまで
ズルいなって。
卑怯だなって。
だってそれじゃあ、まるでヤキモチ焼いてるみたいじゃん。
ありえないのに、そうだったらいいなって期待して。
でも、そんな淡い期待はすぐに打ち砕かれて傷付けられるんだ。
それを知ってるから、期待する気持ちをムリに胸の奥に押し込める。
そのあと、やっと解放してくれた郁都と黙々とお弁当を食べた。
ぎこちない空気が流れていたけど、熱くなった体の熱は冷めてくれない。
もっともっと、好きになっちゃったみたい。
「放課後、俺も行くから」
郁都はなんとなく不機嫌なまま、そう言い残して屋上を去った。