キミの心に届くまで
こんな状況なのに、ドキドキしてるあたしは本当にバカだよね。
胸に押し込めたはずの感情がジワジワ溢れ出して、どうやったって抑えることが出来ない。
そんな気持ちを抱えたまま図書館に辿り着くと、文献がありそうなコーナーの近くに席を取って一息ついた。
「ヒヨヒヨ、一緒に探しに行こっ」
「え?」
何を思ったのか、清水はあたしの腕を取ると強引に引っ張って歩き出した。
「ちょ、ちょっと……」
「ん?」
歩きながらニッと微笑まれる。
この悪びれのない笑顔がなんだか憎たらしい。
清水は見えない場所まで来ると、突然足を止めて掴んでいた腕を離した。
資料なんて探す気がないのは一目瞭然。
だってここは、文献がある場所とは全然違うところだから。