キミの心に届くまで


それに小町って……。


郁都の元カノ……?


名字なのか下の名前なのかはわからないけど、今まであやふやだった存在が急にはっきりし始めて。


胸が痛くて苦しかった。


あたしはずっと、郁都の中に存在する元カノに嫉妬してたんだ。



「郁都はまだ……元カノが好きなんだよ。だから……っ」



そこまで言うと、思いがけずに涙がブワッと溢れて来た。



「そんなことないって。言ったじゃん、あいつが前に進もうとしてくれて嬉しいって」



「……でも」



清水は何も知らないから、そんなことが言えるんだ。


郁都が時々後悔したように悔しそうな顔をしていること。


遠い目で、何かを見ているってこと。


清水は知らないでしょ?


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