キミの心に届くまで


「確かにあいつは心に深い傷を負ってる。今でも吹っ切れてないかもしんねー。けど、ヒヨヒヨと関わるようになって確実に変わって来てる」



清水の言葉に黙り込むしかなかった。


あたしは前の郁都を知らないから。



「あいつだってわかってるよ。このまま想ってても、どうにもならないってこと。だって……」



清水から放たれた次の言葉に、息の根が止まりそうになった。



何かで殴られたかのように、全身に強い衝撃が走る。





「小町はもう、この世にいないんだから」





そのあと、清水がなんて言っていたのかはわからない。


資料だってちゃんと探せたのか、郁都とどんな話をしたのか。


どうやってみんなと別れたのか。


どうやって家に辿り着いたのか。



何も思い出せなかったけど、とてつもないショックを受けたことだけははっきりと覚えている。


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