キミの心に届くまで
そして、ゆっくり話し始める。
「小町っていうのは、お察しの通り郁都の元カノでさ。信じらんないかもしれないけど……ヒヨヒヨにソックリなんだよ。顔とか髪型もだけど、背格好とか本当に似てて」
それを聞いて胸の奥がギュッと締め付けられる。
聞きたいけど、聞きたくない。
知りたくないけど、知りたい。
だけど、聞いてしまったらもう……。
自分から呼び出しておいて、こんなことを思うのはダメだよね。
覚悟を決めなきゃ。
「全然釣り合わない2人だったけど、小町の方が郁都にべた惚れで。最初は全然相手にしてなかった郁都も、猛アタックされて惹かれてったみたいで」
寂しげに話す清水の言葉が、あたしの心にナイフのように突き刺さる。
苦しくて息が吸えない。
「付き合ってから2人共すっげー幸せそうでさ。だけど、ある日を境に小町の様子がおかしくなって……」
グッと唇を噛み締める清水の横顔を見て、逃げ出したい衝動に駆られた。
その先を聞きたくない。
「突然、自殺……したんだ」