キミの心に届くまで


「けどそれは直接の原因じゃなくて……小町が自殺した本当の理由は」



清水は震える声で続ける。


正直もう、聞きたくなんかなかった。



「……そっ、か」



すべてを聞き終わったあと、なんとか絞り出した声で囁いた。


頭がぐちゃぐちゃで、胸が張り裂けそう。



郁都はこれまで……どんな想いで過ごして来たの?


時々見せる悔しそうな顔。


切なげな顔、苦しそうな顔。


遠い目をしながら何かを見つめる横顔。


それは全部全部、小町さんのことで後悔していたからだと考えたら納得出来た。



あたしなんかじゃ到底敵わない、もう2度と会うことが出来ない人の背中を。


これまでずっと追い続けて、闇の中でもがいて来たんだね。


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