キミの心に届くまで


伝えられなかった気持ちを、あたしにぶつけただけ。


はにかんだ顔も、顔を赤く染めてあたしを見る瞳も……怒った顔も全部。



本当は、小町さんに向けられていたものだったんじゃないかな。



授業が手に付かなくて、お昼前から降り出した雨のせいで昼休みは教室で過ごした。


郁都の顔を見るのが怖くて、今日はずっと休み時間のたびにすずの席まで足を運んでいる。



頭にあるのは小町さんのこと。



どんな想いで死を選んだんだろう……。


ツラかったよね。


苦しかったよね。


悩んだよね。



あたしが同じ立場だったら、同じように死を選んだかもしれない。


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