キミの心に届くまで
そんなことまで勝手に決めて、どっちについて行くか決めろだなんて……。
握り締めた拳が震える。
目に涙が浮かんで来た。
「お母さん、もう限界なのよ。翼の苦しんでる顔を見るのは。先生も賛成してくれたし、空気の綺麗なところでのびのび暮らそうと思ってね。田舎に帰ることにしたの」
お母さんはそう言って涙を拭った。
お父さんも、ツラそうに顔をしかめている。
「お父さんはこっちで仕事があるから、会社の近くにマンションを買おうと思ってる。陽良は学校のこともあるし、よく考えてから決めるといい。しっかりしてるから、どっちについて行っても大丈夫だとは思うが」
ーーバンッ
「いい加減にしてよっ!」
喉の奥が焼けるように熱くて、頬に涙が流れた。
テーブルを叩いて反動で立ち上がったあたしは、怒りのあまり体がワナワナ震える。
「自分達だけがツラいだなんて思わないで!あたしだって……っ、あたしだって……っ」