キミの心に届くまで
「なになに、彼氏でも出来たの?」
イスに座ったあと、からかうようにすずの顔を見つめる。
クーラーの風が汗ばんだ肌に心地よくて、少しずつ汗が引いていった。
「しーっ!陽良ったら声が大きいよっ!」
一瞬でボッと顔を真っ赤に染めたすずは、人差し指を口元に当てながら恥ずかしそうに店内をキョロキョロ見回す。
そんな姿に思わず頬が緩んだ。
「別に誰も聞いてないし」
だからいつも、ついついこんな風に返しちゃう。
「ダメダメ!同じ学校の子がいるかもだしっ!」
すずのこの反応を見て、あたしが予想してたことが当たったんだと確信した。
「で、相手は?」
差し出された水を一口飲んで、からかうようにすずを見つめる。