キミの心に届くまで
まだ新しくて新築っぽいのに。
「ほら、座れって」
お茶の入ったコップを渡され、手を引かれてソファーに座らされた。
今まで郁都のことを、あたしは本当に何も知らなかったんだな。
こんな風にちゃんとお茶を出してくれたり、あたしを気遣って一緒にいてくれたり。
ぶっきらぼうで本当に言葉足らずだけど、優しいところをたくさん知ってる。
あたしはキミに……何をしてあげられたかな?
きっと、苦しめることしか出来てないよね。
ごめんね。
「風呂入る?着替え貸すし、眠くなったら寝ていいから」
隣に座る郁都が優しく声をかけてくれる。