キミの心に届くまで


「ほら、また泣いてる」



「な、泣いて……ないっ」



顔を上げると郁都の顔がボヤけて見えた。


心配そうな顔をさせてしまっていることに、とてつもない罪悪感が芽生える。



ごめんね。


あたしが弱いばっかりに……。


郁都の心を手に入れることを諦める覚悟が、どうやっても持てそうになくて。


このまま離れることをためらってしまいそうになる。


今日だけ、今日だけだから。



腰に回しかけていた手を背中に回して、ギュッと抱きついた。


この温もりを忘れないでいたい。


ずっとずっと、いつまでも。


そうすれば、きっと大丈夫だから。



「どうなっても知らねーって言ったよな?」



「うん、いいよ……郁都なら」



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